太陽光、風力、波力、潮力、流水、地熱、バイオマス(生物由来の資源)等々。自然界は、「再生可能エネルギー=決して枯渇することのないエネルギー」の資源の宝庫です。 人間は、古くからこの自然の恩恵を巧みに利用し、動力源や燃料に用いてきました。オランダの風車小屋の風車や、日本の里山の、茅葺屋根の民家のわきに据えつけられた水車。これらは風や水流を動力源とする巧みな仕組みの好例です。 産業革命後の枯渇性エネルギーの台頭で、長いこと顧みられることの少なかった再生可能エネルギーに、ふたたびスポットライトが当たる時代がやって来ました。
小水力発電は、小さな水源さえあれば、どこでも発電が可能なシステムです。中小河川や農業用水路はもとより、上下水道施設やビル、さらには一般家庭でも、設備を整えることは可能です。水流によって水車や羽根車を回すことで電力を得る技術は、既に100年以上の歴史の中で確立されています。
しかし、弱点もあります。たとえば中小河川や農業用水路の場合、落ち葉やゴミが流れてくるので、その撤去などのメンテナンスが必要となること。また、降雨量が少なければ、安定した電力を得にくくなること等の問題です。
私たちが大きな可能性を見出しているのは、水道施設での小水力発電です。これは、水道の導管にバイパスを作り、そこに発電機を設置するものです。水道は24時間定量の水が流れるので渇水の心配がなく、安定した電力を確保することができます。また川での発電と違い、頭の痛いゴミの流入の問題もありません。
大宮発電所のケース>>
「森に沈む福島」とうたわれた森林資源豊かな福島ですが、原発事故の後、森は放射線量が高く、除染し切れない「お荷物」になっています。福島の再生は森林の再生に他なりません。
原発事故から27年経ったチェルノブイリでは、放射性物質は地表から30センチのところに沈んでいて、地表よりも樹木が放射線を発しているとの報告があります(「被ばくの森から〜チェルノブイリの生態系〜」仏ドキュメンタリー作品 リュック・リオロン監督)。これは福島の森の未来の姿でもあります。
そこで、福島の木を燃やしてエネルギーを得、伐採したところに森林を再生していく取り組みが期待されます。これを県内各地で行えば、エネルギー確保、森林再生、そして雇用の確保にもつながります。
そのためには優秀なバグフィルターの開発と、灰の処分が大きな課題になります。現在7割の灰を濃縮できるところまで研究が進んでいます。福島の再生のために、日本の技術と英知の結集を粘り強く訴え、これを実現していくことは、私たちの大きな責務だと考えております。